CLASSROOM DIARY · ESSAY
子どものうちにはじめたいお稽古。
一生の財産になる「書道」の力
子どもの吸収力と、
手書きが育てる確かな自信

日に日に日差しが強くなり、本格的な夏を感じる季節となりました。子どもたちにとっては、もうすぐ待ちに待った夏休み。この時期は「我が子に新しく何かお稽古事をはじめさせようかしら」と検討される保護者の方も多いのではないでしょうか。
水泳、ピアノ、英会話……世の中にはたくさんのお稽古事がありますが、「なぜ、小さいうちに書道を習わせるのがいいの?」と聞かれたら、私は迷わずこう答えます。
「子どものうちに身につけた正しい持ち方や書き方は、大人になっても色褪せない『一生の財産』になるからです」
大人になってから「長年の字の癖を直したい」と教室へ来られる方もたくさんいらっしゃいます。もちろん、大人になってからでも字は十分に美しくなりますが、染みついた持ち方の癖や書き方のバランスを修正するには、どうしてもそれなりの時間と根気が必要です。
一方で、子どもの吸収力には本当に目を見張るものがあります。
当教室には、親子で一緒にレッスンに通われている生徒さんがいらっしゃいます。お父さまとお子さまが並んで真摯に筆を握る姿はとても素敵ですが、お父さまもご自身の文字と熱心に向き合われる傍らで、我が子の「吸収力の速さ」に驚いていらっしゃいます。
真っ白なスポンジが水を吸い込むように、アドバイスした「鉛筆の角度」や「線の引き方」のコツを、その場でするりと自分のものにしてしまうお子さまの姿。理屈で考えるのではなく、感覚でピタッと正しい形を捉えて上達していく様子を間近で見守るお父さまの驚きと喜びの表情に、講師である私も深く共感し、「やはり子どものうちに正しい土台を作ってあげることの価値は計り知れない」と改めて実感させられます。
幼い頃に「指先の正しい感覚」と「美しい文字の骨組み」を体に染み込ませておけば、それは成長してからもずっと、その子を支え続ける無言の教養となります。
デジタル化が進む時代だからこそ、自分の手で美しい文字を紡ぎ出せる力は、その人の確かな自信と魅力につながります。
この素晴らしい「一生ものの財産」を、一人でも多くの子どもたちへ手渡せるよう、これからも親子で通える温かい空間を大切にしながら、日々のレッスンを重ねてまいりたいと思います。
