関東地方もまもなく梅雨入りの季節を迎えようとしています。あじさいの蕾が少しずつ色づき、しっとりとした雨混じりの風が教室の窓をたたく日も増えてきました。新しい学年が始まって二ヶ月が経ち、学校生活の疲れや、季節の変わり目による体調の変化が出やすい時期でもあります。
今日の硬筆レッスンでは、子どもたちに大人気のドリルを少しお休みして、一篇の「詩」を書き写す時間を設けました。
選んだのは、みずみずしい日本語のリズムが美しい、おおぞらや自然の息吹を歌った詩です。
ただ文字を mechanical(機械的)になぞるのではなく、まずは一度、声に出して音読をします。
「どんな情景が浮かぶ?」「この言葉、なんだか楽しそうだね」
そんなふうに言葉の意味やリズムを体全体で味わってから、いざ鉛筆を握ります。
最初は何気なく書き始めた子どもたちでしたが、詩の世界に引き込まれるように、次第に教室が静かな集中に包まれていきました。
鉛筆の音が静かに響く中、ドット方眼のマス目を見つめながら、「この文字の余白はこれくらいかな」「ハライをもう少しのびやかにしてみよう」と、一文字一文字を噛みしめるように、丁寧に手を動かしています。
普段の漢字練習とは違い、詩を書く時間は、言葉の持つ優しさや美しさがそのまま子どもの心に、そして文字の表情に表れるのが本当に不思議です。書き終えた清書の紙を並べると、そこには力強さの中にも、どこか優しさが溢れる素敵な作品たちが咲いていました。
字を整えることは、自分の内側にある思考や心を整えること。
気候の変化で心が少し揺らぎがちなこの時期だからこそ、ただ「きれいに書く」という技術だけでなく、美しい日本語に触れて心がふっと軽くなるような、そんな温かい時間を一人ひとりに寄り添いながら大切に届けていきたいと思います。
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