書道の時間、わたしが子どもたちの字を直すときは、いつもその子自身の筆を使います。
私の筆ではなく、今、その子が使っている筆で、同じ目線に立って書く。
そのほうが、見ている子どもにとって、「どう書けばいいのか」が、ずっと分かりやすいと思うからです。

とくに大切にしているのは、
筆の穂先がどこを向いているか。
線の形だけでなく、筆の向きや動きを一緒に確認します。
そうすると、子どもたちが自分の手で、再現しやすくなります。
もうひとつ、心がけていることがあります。
それは、直しを入れすぎないことです。
あえて、全部は直しません。
「どうしたら、もう少し良くなるかな?」
そんなふうに、自分で考える余白を残したいのです。
お手本そっくりに書くことだけが目的なら、極端な話にはなりますが、コピーをすれば良いのです。または、AIを利用すれば容易いことです。
けれども、書道の時間で育てたいのは、
“考えて書く力”。
その力はきっと、
書道だけでなく、これから先、その子自身が生きていくための大切な力につながっていくと、わたしは信じています。